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役に立つ不動産の知識〜トラブル事例〜

媒介に関するトラブル

業者の媒介でアパートの賃貸をしたが、入居後しばらくして借主が行方不明になり、保証人からは保証した覚えはないと言われた
業者の媒介でアパートを賃貸しました。業者の説明によると借主は中堅企業の社員であり、保証人は同僚だということで安心していました。
ところが、入居して3ヶ月後に家賃が滞り、行方知れずになったので業者が保証人に督促しましたら、その人は保証した覚えがないと言っているとのことです。業者の責任を追求し、損害賠償を請求したい。
(松尾英雄 58歳 貸家業)

苦情の内容

松尾さんは、業者の媒介により借主とアパートの1戸室の賃貸借契約を締結し、業者に媒介報酬を支払った。
ところが、4ヶ月目の家賃を納めないまま借主の行方が知れなくなり、また、早朝や深夜まで借主を尋ねて見知らぬ者がアパートを訪れるようになった。業者が借主の勤務先に確認すると、無断欠勤が続いており、近々解雇されるだろうということが分かった。また、借主がサラリーマン金融から多額の借金をしていることも訪問者等から判明した。
さらに、同僚の保証人に督促した結果、同僚は保証を承諾しておらず、借主が勝手に賃貸借契約書に代筆で署名し、三文判を押したらしいということが分かった。
松尾さんは媒介を依頼するにあたっては、賃借人の住民票と保証人の印鑑証明をとることを条件としていたので、これらの確認を怠って賃貸借契約を締結させた業者に対して、早急に借主との契約を解消するとともに、借主の放置家財を保管するか処分し、未払いとなっている家賃相当額を賠償せよと要求した。

業者の言い分

松尾さんが、借主については住民票、保証人については印鑑証明を取るようにという条件を付けておられたけれども、当社は借主の身分証明書で確認したうえ、さらに勤務先にまで電話で裏付けを取っているから十分注意義務は尽していると思います。それに借主の収入も聞いていますが、資産や借金の有無までは調査できません。保証人については勤務先に確認していますが、本人には連絡がつかなかったのです。

紛争相談窓口の考え

賃貸借の媒介において、業者は借主が契約に従って物件を使用し、賃料を確実に支払えるかどうかを見るために、本人に面接のうえ職業、収入、同居者の有無などの身元調査を行うが、借主の資産や借金の有無についてまでも調査義務を負わせるのは、一般的には酷であろう。
保証人については、すべての借主に対して要求すべきものとはいえないが、貸主が保証人を立てることを条件とした場合は保証人についても適格であるか否かを調査する必要がある。調査にあたっては保証能力と保証意思の確認が必須であり、本人に面接することが望ましい。本件については、印鑑証明を取ることが貸主の条件であったのであるから、少なくともそれを確認したうえで賃貸借契約を締結させるべきであったといえる。

トラブルの結末
業者は媒介報酬を返還した。

トラブルから学ぶこと

不動産の賃貸にあたっては、賃料不払いや契約解消時の明渡しの担保のために保証人を立てることが慣行となりつつある。これを実効あるものとするためには、保証意思の確認が不可欠である。また、本件のような家財放置に対処するため、契約書に保証人の引取り義務を明記するのも一方法である。
なお、置き去られた家財の処理は法的手続を取る必要があり、自力処分は新たなトラブルとなるから慎まねばならない。

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