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役に立つ不動産の知識〜トラブル事例〜

媒介に関するトラブル

業者の媒介により、アパートを賃借しようとしたが、途中で取りやめたところ、預り金を返してもらえない
アパートを借りるため業者を訪ねたところ、複数の物件を紹介され現地を案内してもらった。気に入った物件があったのでその旨業者に告げたところ、「急がないと他の借手が付いてしまう。物件を押さえるため家賃の1ヶ月相当分を支払ってほしい」と業者にいわれ、これに応じた。しかし、その後、よく調べると駅までのバスの交通の便が良くないことが分かったので、借りるのをやめて支払った金銭を返還してほしい旨申し述べたところ、業者は取り合ってくれません。
(中沢週次 22歳 会社員)

苦情の内容

中沢さんは、支払った金銭がどのような性格のものなのか聞こうと思ったものの、業者にいわれるまま家賃1ヶ月分を支払ったが、その後、その物件を自分でよく調べたところ、バスの本数が少ないこと、始発、終バスの時間が勤務時間とうまく合っていないことが分かり、借りることを取りやめ、支払った7万5000円を返してくれるよう業者に申し出たそうである。
これに対して、業者は、中沢さんが物件を気に入ったということであったので、大家に連絡して了解を得ている。契約は成立したから支払ったお金は手付金である。借りるのをやめるのなら、手付金を放棄しなければならないとして、返還を拒否したため、紛争となったものである。
なお、中沢さんが支払った際、業者はこれと引き換えに受取証を手渡していたが、これには、借りることをやめるならば、金銭は没収する旨記載されていた。

業者の言い分

中沢さんが気に入った物件は新築でもあり、人気物件で他にも希望者はいたので、物件を押さえる意味で家賃の1ヶ月分に相当する金銭を支払っていただいたものです。その後、貸主に連絡して了解を得たので、その金額を貸主に渡しました。
賃貸借契約は基本的には諾成契約ですから、貸主が承諾した時点で原則として契約は成立していると考えている。したがって、承諾の時から受領した金銭は、手付金になっていると考えています。手付放棄による契約解除になると考えています。受取証にもやめるのなら没収する旨を記載しています。中沢さんもこのことを承知しているはずです。

紛争相談窓口の考え

借主は物件が気に入ったものの、確定的に借りたいといったわけではないし、業者自身も手付金でなくて物件を押さえるためと説明しているのだから、借入れについて民法にいう契約の申込みがあったと見るのは無理だろう。それに、貸主の方も、借主の家賃支払能力や保証人について何も調べていない段階で、承諾の意思表示があったというのは、かなり不自然である。したがって、契約はまだ成立していないと考えるのが妥当だろう。そうすると、貸主は手付を収受する権利はないし、業者も貸主に本件金額を渡すべきではなかった。
業者は受領証に金銭を没収すると記載しているが、借主が契約前に借りるのをやめたからといって、業者が預り金を没収する理由はない。
なお、仮に業者の主張するとおり賃貸借契約が成立したとすると、業者は重要事項説明をしていないから、業法違反である。

トラブルの結末
中沢さんは、業者と交渉した結果、支払った金額全額の返還を受けた。

トラブルから学ぶこと

預り金や申込証拠金については、授受する時点やその性格が曖昧なことからトラブルは多い。
東京都では預り金をめぐるトラブル防止のため、原則として受領しないこと、物件が特定し、借主から物件を確保するため特に依頼のあった場合は受領してもいいが、その場合でも契約成立の有無にかかわりなく、一旦は返還するように行政指導が行われている。

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