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役に立つ不動産の知識〜トラブル事例〜

媒介に関するトラブル

土地の売却を業者に依頼してあったが、兄が見つけてくれた買主と直接契約しようとしたら、業者を介してくれと言われた
土地の売却を依頼した業者と専任媒介契約を結んで約1ヶ月が経過しました。ところが兄が買主を見つけてくれたので、直接契約しようとしたら、業者から当社を介してもらわないと困ると言われましたが、その必要があるのでしょうか。
(青木和男 45歳 会社員)

苦情の内容

青木さんは自宅が古くなって、あちこち具合が悪く、家族が増えて狭いこともあって建替えを計画した。その資金を充当すべく、他に所有している土地の売却を業者に依頼し、専任媒介契約を結んだ。
しかしその後、購入希望者はあるものの、成約に至らず、1ヶ月が経過し困っていたところ、兄が買いたいという知人を紹介してくれたので現地を案内し、金額等について話し合ったら、すっかり気に入ってくれ売却することで合意した。
そこで、業者との媒介契約を解除するため、自分の方で買主が見つかった旨を連絡したところ、業者から「媒介契約を結んでいるのだから当社を介してもらわないと困る」と言われた。
自分の方で買主を見つけたのに、業者を介して契約し、報酬も払わなければならないというのは納得できないというもの。

業者の言い分

媒介契約書には「依頼者は、本契約の有効期間中、必ず当社を介して売却するものとする」と記載してあり、これは売主が自ら見つけた買主の場合にも適用されると思います。
また、「依頼者および当社は、本契約の本旨に従った履行をしない場合は、相当の期間を定めて履行を催告し、その期間内に履行がないときは、本契約を解除できるものとする」とありますが、当社は物件を調査したり、購入希望者を何人か紹介したりして、媒介に努力してきたのですから不履行はなく、また、催告を受けたわけでもありませんから媒介契約の解除には応じられません。

紛争相談窓口の考え

本事案も専属専任媒介契約制度の施行前のものであるが、本件媒介契約書が建設省が定めた標準媒介契約約款によるものでないからといって、その効力を否定することはできないだろう。しかし、媒介依頼者の無思慮・窮迫に乗じて業者側に不当に有利な内容で契約したとすれば、公序良俗に反するものとして契約の全部または一部が無効になることはあり得る。
一般的に売主は有利な売却先を求めて業者に媒介を依頼する一方、専属専任媒介契約でなければ、自らもその努力をするものであり、業者が主張する「媒介契約の有効期間中はたとえ売主の側で買主を見つけても当社を通す」という趣旨と解するには、事前にはっきりとした説明と了解がないと無理で、これは他の業者との媒介を禁ずる趣旨と解すべきであろう。

トラブルの結末
業者が媒介をあきらめた。

トラブルから学ぶこと

媒介契約の内容が不明確であることによる紛争が少なからず発生することから、業法第34条の2第1項で契約内容の書面化が義務づけられ、また建設省で標準媒介契約約款が作成されて、その活用が図られているところである。
従って、媒介業者は積極的にこの標準版を使用すべき立場にあり、あえてこれを使用しなかった場合は、契約条項の解釈を極力依頼者のマイナスにならないように配慮すべきであろう。加えて標準版を使用するということは用紙としてそれを使用すれば良いというだけでなく、専任と一般の相違点等を依頼者に十分説明し、責任と義務をもって以後の取組みをすることが、かかる紛争を防止するうえで不可欠である。

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