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役に立つ不動産の知識〜トラブル事例〜

売買に関するトラブル

業者に自宅の売却を依頼してあったが、姉が見つけてきた買主と契約したら、業者から違約金を請求された
自宅の売却を専任媒介で依頼しましたが、たまたま、姉が買主を見つけてくれたのでその人と売買契約を締結しました。そこで、媒介契約の解除を申し入れたところ、業者から、手数料相当の違約金をもらいますと言われたのですが・・・・。
(頼本哲郎 32歳 会社員)

苦情の内容

頼本さんは、自宅の売却を業者に専任媒介で依頼した。この時使用した媒介契約書は、建設省が定めた標準媒介契約約款によらず、その業者独自のもので、標準約款12条(違約金の請求)、13条(自ら発見した相手方と契約しようとする場合の通知)及び14条(費用償還の請求)を次のように変更したものであった。
「甲(依頼者)は、本契約の有効期間中、必ず乙(当社)を介して売却するものとし、これに違反して売却した場合、乙(当社)は約定報酬額に相当する違約金を請求できるものとする。」
頼本さんは専任媒介契約締結の際、この条項を読んでいたが、その趣旨は他の業者に依頼することを禁じたにすぎず、自分の姉が見つけてくれた買主と取引することまで禁ずる趣旨とは思ってもみなかった。
知人に聞いたところ、早く買主を見つけてもらうためには専任媒介契約の方がよいと言われたので、そうしたようである。自分でも友人・知人を通じ買主を探す努力をするのは当然で、それでも成約したら手数料相当額を払わねばならないというのは納得できない、ただ業者は広告をだしているので、その分についての実費を払うのはやむを得ないというもの。

業者の言い分

確かに、この契約書は標準媒介契約約款による媒介契約書ではありませんが、その旨を明記してありますし、契約を締結した以上、その内容を守って頂くのは当然のことと主張しているだけです。

紛争相談窓口の考え

本事例は、いわゆる自己発見取引を禁止する専属専任媒介契約制度の施行前のものであり、それまでは、依頼者保護の観点から専属専任媒介契約については厳に慎むよう指導されていた。
標準約款は、多岐にわたる媒介契約の内容を類型化することにより、取引当事者間の権利義務を明確にし、これより円滑な取引の確保と依頼者を保護する観点から建設省において作成されたものであり、通常の媒介契約においては、この約款を使用するよう指導されている。
本件は特殊な取引ではなく、消費者を相手方とする通常の取引であり、本来は標準約款を使用して契約すべきケースであったと考えられる。さらに、本件の媒介契約書では、標準約款によらない旨を明記してはいるが、問題となっている条項が、果たして自ら発見した相手方と契約する場合についても違約金がとれる趣旨と解すべきかどうかについては、文面上必ずしも明らかではない。
これらのことを総合して考えると、業者は実費の請求をするに留め、違約金の請求までは行わないのが妥当であろう。

トラブルの結末
頼本さんが業者に広告費用に相当する額を支払うことで解決した。

トラブルから学ぶこと

通常の取引において、標準約款によることができないような特別の理由はほとんど考えられない。標準約款に定められた趣旨に照らせば、業者としては、依頼者が自ら作成した媒介契約書の使用を求めるなど特別の事情のある場合を除き、この標準約款に基づき媒介契約を結ぶべきである。あえてこれによらないで媒介契約を結んだときのマイナスは、業者自身で負担すべきであろう。

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